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Lee-Byung-hun addicted

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『Lovers in Hong Kong 3』

『Lovers in Hong Kong 3』


8月16日


彼に「行ければ行くから」と答えたのはもちろん建前で。

元気だろうか、やせてないだろうか、もう心配で心配で、会いたくて会いたくて仕方がないのが本音だった揺はすでに香港にいた。



エクセルシオールホテルの怡東軒。

揺の向かいの席には不二子とトメが座っている。

「ほら、揺ちゃん明日のためにこれ食べなさい」

不二子は揺に黒っぽいゼリーを勧める。

「え?何これ・・」

揺は恐る恐る蓮華に手を伸ばし一口口に含んだ。

「カメゼリー。
お肌にいいのよ~。
もう、明日はツルッツルだから。
ビョンホン君大喜び間違いなしだわ。
ほっほっほ・・」

不二子は高らかに笑った。

トメは黙々と黒い物体をチュルチュルと吸い込んでいる。

「何だか・・・微妙なお味で・・・」

揺は自分の頬をさすりながら黒いものを飲み込んだ。


「ね、HERO流れてない?」

不二子が不思議そうに言った。

「え?ああ・・・そうだった。着メロ変えたんだった。」

揺は慌ててバックのポケットから携帯を出した。

「もしもし?」

「もしもし?揺?」

声の主はビョンホン。

「うん。着いた?」

揺は店の窓際の片隅に足早に向かう。

「ああ。お前、今どこ?何してるの?」

「え?不二子さんとおばあちゃんと亀ゼリー食べてる」

「おばあちゃんたちも一緒なんだ。
そりゃ、にぎやかだね。
じゃ、今日の夕飯はみんなで食べようよ。
案内するから。
それから揺・・カメゼリーいっぱい食べておいて。
いやぁ~明日はお肌ツルツルだね。楽しみだ・・・」

嬉しそうに微笑む彼。

「もう・・・何考えてるんだか・・で、何時ごろ?」

呆れたように言いながら揺もニヤニヤと笑っている。

「ちょっと用事があるから・・また後で電話する」

「え?う・・うん・・」

ビョンホンがあっさりと電話を切ったので少し拍子抜けした揺。

口はちょっととがっている。

何を慌てているんだろう。

せっかく彼に会えるのに・・・二人きりじゃないのがちょっと寂しい。

「ま、会えるんだからいっか」

気を取り直して席に戻り亀ゼリーをすすった。

「明日はツルツルかぁ・・」

揺の頭に彼との夜がよぎる。

「揺・・・ゼリー口からこぼれてる」

トメがつぶやく。

揺は慌ててナプキンで口をぬぐった。

「全く・・・何想像してるんだか・・すいません、おかわり」

「不二子さんこそ、そんなツルツルにしてどうするんです?」

揺はケラケラと笑った。



移動のバンの中、彼は携帯を閉じた。

「えっと・・・GUCCIに寄って。」

「え?ホテルに行かないんですか?」

不思議そうに尋ねるスタッフに彼は自慢げに答えた。

「まずは揺の誕生日のプレゼント買わないと。」

香港の町並みを窓から眺める彼はうれしそうに微笑んだ。




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